会社概要
株式会社島津製作所様は「科学技術で社会に貢献する」という社是のもと、「人の健康」「安心安全な社会」「産業の発展」の事業領域で世界中のパートナーとともに革新的な製品・サービスを創出されています。卓越した科学技術で、医用・医薬・環境・エネルギー・半導体・素材など幅広い産業の発展に貢献されている企業です。
約30,000点の固定資産の棚卸し、約25,000点の計測器の貸出し管理の効率化を図るため、2018年よりシステム導入の検討を開始されました。2019年に、計測器の校正管理でConvi.BASEを試験的に導入し、2021年より固定資産の棚卸しのため3部門を対象に先行導入。その結果が好評だったため、2022年より全社展開されています。現在、約13,000点の文書保存箱の管理にも拡張されています。導入の背景や運用状況についてお聞きしました。
導入の背景
固定資産、計測器管理が煩雑
―― Convi.BASE導入の背景を教えてください。
平岡氏:固定資産会計システムを運用していますが、モノを管理するシステムは導入しておらず、各部門にてExcelやAccess、外部システムを利用するなど、物品管理はばらばらに行われていました。
各データはローカル環境に保存されているため、タイムリーに物品データを編集できず、結果的に1年に1度しかデータを確認できない状態でした。
物品データと写真を紐づけて管理できていなかったので、データ上の物品名称から何なのかがすぐにわからず、調べるためには過去の稟議書を調べるしか方法がありません。
また、各部門で作成したデータベースは、その担当者が異動すると改修できないという問題点もありました。
計測器はグループ会社等に貸出すことが多いため、計測器管理システムで管理していますが、20万円を超える計測器は固定資産になるため、固定資産のデータベースにも登録されます。同じ物品が複数のデータベースに存在することで、1つの物品が別々のものとして認識されてしまうという問題がありました。
加藤氏:私は文書保存箱管理におけるConvi.BASEの導入を担当しました。当社は電子化し紙を使用しない方針に移行しつつありますが、過去に紙で受領した納品書のように保管期間のある会計帳票などを管理する必要がありますので、約10年前にレコードセンターを設置し、そこで各部門から依頼を受けた13,000箱を超える文書保存箱を管理しています。もともとは自社で開発したシステムで管理を行っていましたが、OSやハードウェアのサポート終了によりBCP(Business Continuity Planning)の担保が難しくなったため、システムの入替を検討していました。ちょうど同時期にConvi.BASEの導入を検討しており、話を聞いてみてレコードセンターでも転用できると判断しました。
―― Convi.BASE導入前はどのように運用されていたのでしょうか。
平岡氏:計測器については、約25,000点の機器の貸出し管理をほぼ手作業で行っていました。毎月発生する2,000点もの校正予定の調整をExcelで行い、貸出し予約、計測器の入出庫・返却漏れの催促すべてをメールでやり取りしていました。
固定資産棚卸しは、固定資産の管理部門から所有部門の担当者に棚卸し作業をメールで依頼します。所有部門の担当者は資産のリストを作成し、実際の使用者にメールで送付。使用者は、現物を目視で確認のうえリストに記入、所有部門の担当者に返送します。所有部門の担当者は受けたデータを集計して管理部門へ送付、という流れです。管理部門は所有部門から送られてきたデータの不備をチェック・修正した後、所有部門のデータをExcelに貼り付け集計し、固定資産会計システムに取り込みます。
―― 従来の運用方法ではどのような困りごとがありましたか?
平岡氏:棚卸しの対象点数が多く、また社屋も広いため、現場では物品を探すのに大変苦労していました。
管理部門でも、各所有部門から送られてきたデータを都度チェック・修正しなければならず、非常に手間がかかっていました。Excelでフォーマットを作成していましたが所有部門ごとに入力精度も異なり、データを上書きされてエラーになることもあります。その間、大量のメールのやり取りが発生し、作業が煩雑になっていました。
また、管理部門では棚卸しの様子がわからないため、「現場ではリストと物品を突き合わせてしっかり確認しているのか」、「実際に物品があるのか」という不安がありました。
導入の決め手
台帳の拡張性・汎用性の高さ
―― Convi.BASEを採用された経緯を教えてください。
平岡氏:最初は航空機器事業部で、計測器の貸出し管理に膨大な工数を要していることから、システム導入を検討することになりました。複数の製品を比較検討した結果、
- 汎用性が高い
- 他社システムより安価
- 拡張性が高い(管理対象ごとにアプリケーションを追加)
- テーブル(台帳)の項目数が他のシステムより圧倒的に多い
- ライセンスフリー(無制限ユーザーライセンス)で運用できる
ということから、Convi.BASEを採用するに至りました。
特に、複数の部門で運用することを想定していたので、無制限ユーザーライセンスで運用できるという点は大きかったです。
導入による効果
物品管理の正確性が向上し、棚卸しにかかる工数を大幅に削減
―― Convi.BASEを導入して物品管理はどう変わりましたか?
平岡氏:Convi.BASEに物品の情報をすべて集約することで、今まで紐づいていなかった計測器管理システムや固定資産会計システムを紐づけることができ、Convi.BASEを見れば、その物品のステータスがすべてわかるようになりました。
クラウドサービスなのでいつでもどこでもデータを確認でき、客先でも貸出し中の物品データを調べることができる点も大変便利です。
メール送信機能を利用して保守期限や物品返却期限などのアラートメールを自動送信できるため、作業忘れ防止にも役立っています。
―― 棚卸しはどのように変わりましたか?
平岡氏:物品の数が膨大なので、固定資産の管理ラベルはバーコードやQRコードではなく、ICタグを採用しました。これにより、RFIDリーダーライターをかざすだけで物品を検知できるため、大変スピーディに棚卸しが完了するようになりました。ただ、ICタグの読み取り率はおよそ90%程度で、残り10%は目視による確認が必要です。それでも、従来の方法と比較しても大幅な時間の短縮になりますし、宝探しのように楽しめてもいます。
管理部門も、集計や集計結果を固定資産会計システムに取り込むという作業が不要になり、非常に楽になりました。固定資産に関しては、時間にして約1,960時間削減、人件費は年間920万円削減できると予想しています(先行導入した3部門の棚卸し結果から試算。全社導入が完了し全社の棚卸しが完了するのは2022年11月末予定)。
加藤氏:レコードセンターでは、以前からバーコードで文書保存箱管理をしていましたので作業量的に大きな変化はありませんが、Convi.BASEを導入したことでBCPが担保された安心感は大きいですね。導入するシステムに合わせて弊社側の業務フローを変えるのではなく、「弊社側の運用に合わせて機能を構築できるというConvi.BASEの柔軟性」には助かりました。
―― ICタグはバーコードやQRコードよりもコスト高ですが、それでも採用された理由は?
平岡氏:バーコードやQRコードの管理ラベルの場合、まず、管理ラベルがどこに貼られているかを探す作業からしなければなりません。物品数が膨大ですし、大型の計測器や、組み替えて使用している計測器もあるため、ラベルがどこに貼られているかを探すだけで時間がかかってしまいます。ICタグであれば、ラベルを探さなくても、RFIDリーダーライターをかざすだけで読み取りが完了します。1,000個の物品の棚卸しが2時間で終わるようになりましたので、体感的にもすごく楽になったと思います。
―― Convi.BASEを導入するにあたり、現場の方への周知はどのようにされたのでしょうか。
平岡氏:2022年10月の全社展開を前に、8月に全社説明会を行いました。現場での棚卸し時には基本的にRFIDリーダーライターでICタグを読み込むだけでよいので、さほど混乱はないかと思います。機器を貸出している社外の関連会社約200社にもConvi.BASEを使って棚卸しをしてもらうので、9月中旬に説明会を行いました。
今後の展開
全グループ会社へ展開。固定資産以外の管理用途も検討
―― 今後の展開について教えてください。
平岡氏:まず、来期には製造子会社にも導入し、全グループで物品管理を統一させる考えです。そのほか、固定資産以外の細々した物品の管理や、短期の物品の貸出し、展示会で使用する展示パネルやパソコン、ケーブルなどの貸出し管理にも使用したいです。また、航空機器事業部でミルクラン(巡回集荷)を行っているのですが、その際の計測器の授受もConvi.BASEで管理したいと考えています。可能であれば、海外の拠点でも活用したいですね。
―― 最後に、ネットレックスへのご要望があればお聞かせください。
平岡氏:当社の様々な要望に対し、大変真摯に対応してくださり、感謝しています。また、非常に細かな質問にもすぐに答えてくれるので本当に助かっています。月1回の定例会で要望を聞いてくれるなど、導入後のサポートも手厚く、大変ありがたいです。
※本事例中に記載の所属・役職・社名および内容はインタビュー当時(2022年9月)のものとなります。
※記載された会社名及び製品名は、各社の商標または登録商標です。
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